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A**R
日本のゲーム文化とアメリカのイノベーションの完璧な融合
1980年代生まれの日本人読者として、この本は心の奥深くに響きました。ゼヴィンは日本のゲーム文化とアメリカの起業家精神を見事に織り合わせています。基盤は純粋な日本のゲームDNA - マリオ、ドンキーコング、クロノ・トリガーは単なる名前の羅列ではなく、物語の骨格として機能。幼少期に父親のPCを通じてゲームの喜びを発見した私は、登場人物たちの原体験に深い共感を覚えました。この作品を特別にしているのは、ゼヴィンがこれをUSカルチャーの重要点である、起業家精神。ハーバード/MITスタートアップのエネルギーとバランスよく描いている点です「レベルアップ」の構造が素晴らしい - 仕事、友情、愛が競い合うのではなく、共に進化していきます。この並行した発展は、個人的成長と職業的達成が絡み合うゲーム世代の体験を完璧に捉えています。最も重要なのは、この本が私たちの文化的輸出品を終着点ではなく、新しい創造性の出発点として描いていることです - そしてそれは日本人としての私自身の創造活動にも影響を与えています。真のイノベーションは情熱からくる融合から生まれるのだと。異文化間を行き来する人、ゲームで育った人には必読。As a Japanese reader born in the 1980s, this book hit me right in the heart. Zevin masterfully weaves together Japanese gaming culture with American entrepreneurial spirit in a way that feels both authentic and inspiring.The foundation is pure Japanese gaming DNA - Mario, Donkey Kong, Chrono Trigger aren't just name-dropped but serve as the story's backbone. As someone who discovered gaming joy through my father's PC in childhood, I felt deep empathy with the characters' formative experiences.What makes this special is how Zevin balances this with real Harvard/MIT startup energy - the urgency and ambition feels authentic, not romanticized.The "leveling up" structure is brilliant - work, friendship, and love evolve together rather than competing. This parallel development perfectly captures the gaming generation's experience where personal growth and professional achievement intertwine.Most importantly, this book shows our cultural exports not as endpoints but as launching points for new creativity - and it influences my own creation as a Japanese. True innovation comes from thoughtful synthesis, not dominance.A must-read for anyone navigating between cultures or anyone who grew up gaming. Zevin has created something genuinely transformative here.
J**K
小説?ゲーム?
シェイクスピアの名作マクベス、そこでは魔女が住み、不気味な予言をし、死霊が彷徨い、短剣が勝手に人を刺し、何回洗っても死人の血が落ちず、夢と現実の区別が無くなり、そして山が動く。そこは現実世界か別次元の世界か?あるいは非現実のゲームの世界か?そう著者、ガブリエル・ゼヴィン(ユダヤ、ロシア、韓国系アメリカ人)、はマクベスをゲームの世界と受け取り、本書も現実と非現実が折り重なったゲームの世界をマクベス同様、小説として表したのです。つもり本著は小説で有り、ゲームでも有るのです。読書はゲームの世界に紛れ込まされ、肉親の愛情と別れ、恋人同士の愛憎、コンプレックスと優越感、突然の悲劇と避けられない悲劇を経験し、そして全てが元に戻るリセット。タイトル、Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow (マクベスが敵に追い詰められた時の独白の一節)が本書をひも解くキーワードで有り最強ウエッポン。全く新しい分野の超推薦作。
渡**里
アメリカのミレニアル世代の「恋愛ではなく恋愛以上の男女間の愛」が胸に焼き付く小説
交通事故で最愛の母を亡くし、足を砕かれた11歳の少年Sam Masurは、LAの病院で同年代の少女Sadie Greenと出会った。2人はスーパーマリオブラザーズを通じて仲良くなるが、ある出来事により交友関係を断ってしまった。2人が次に出会ったのは約10年後のことだった。ハーバード大学3年生になったSamは、駅のプラットフォームでSadieを見かけて声をかけた。SadieがMIT(マサチューセッツ工科大学)に入学していたことは知っていたが、コンタクトはしなかったのだ。有名なゲームクリエイターでもあるMITの教授のクラスで学んでいたSadieは、自分が作ったゲームをSamに渡した。それがきっかけで2人は再び親しくなり、Samのルームメイトで裕福なMarxをプロデューサーにしてゲームを作ることになった。Sadieはユダヤ系の白人だが、ゲームの世界では女性であるだけでマイノリティである。Samの父はユダヤ人だがまったく関わりがなく、彼を育てたのはコリア系アメリカ人の母と韓国からの移民の祖父母だった。Marxの父は経済的に成功した日本人で、母親は日本に留学した韓国人だった。それぞれに社会のマイノリティである3人が一緒に考え出したのは、アジア系の幼い子どもIchigoが波にさらわれ、そこから両親の元に戻る冒険のゲーム「Ichigo」だった。セッティングの背景は葛飾北斎の「富嶽三十六景」の《神奈川沖浪裏》(英語では「Great Wave」として知られている)で、性別をわざと決めないIchigoは奈良美智の絵を連想するものだった。「Ichigoの性別を決めず、ユーザーに勝手に想定させる」というのは重要な設定だった。だが、Ichigoをリリースするゲーム会社を選ぶ時、「ユーザーはほぼ男性。女の子だったら売れない」という理由で男の子に設定することを前提にする大きな企業のほうをSadie以外全員が支持した。そして、Ichigoが売れるようになった時、誰もがIchigoはSamが作ったものだと決めつけた。仕事の大きな部分を行ったのはSadieだったにもかかわらず。互いの延長のように繋がっていたSadieとSamだったが、暗くて複雑だけれども美しいゲームを作りたいSadieと、自分の身体の障害を忘れさせてくれたゲームのような娯楽的なものを作りたいSamの違いに加え、Sadieのわだかまりと不信感、重要なことを口にしないSamの屈折した感情が2人の関係にヒビを入れていく......。40年近くにわたるSamとSadieの関係は、「親友」という箱には入らないほど緊密であり、恋愛関係を超える愛情である。だからこそ、2人は衝突し、離れては、近づく。私はまったくビデオゲームをしないのだが、そんな私であっても彼らのクリエーションの情熱には引き込まれてしまった。また、2人と彼らを取り囲む人々との関係には、Hanya YanagiharaのA Little Lifeに通じるものがある。楽しくて、そして切ない。タイトルはウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』に出てくる、マクベスのスピーチから来ている。これも、コンピューターゲームを扱っているこの小説に流れているテーマでもある。Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,Creeps in this petty pace from day to day,To the last syllable of recorded time;And all our yesterdays have lighted foolsThe way to dusty death. Out, out, brief candle!Life's but a walking shadow, a poor player,That struts and frets his hour upon the stage,And then is heard no more. It is a taleTold by an idiot, full of sound and fury,Signifying nothing.多くのレイヤーがあり、読み終わるのが嫌になるほど面白かった。そして、読了後もずっと彼らのことを考えているほど余韻が残る小説だった。
G**家
リアルで惹き込まれる
8年前に読んだ、同じ作者の"The Storied Life of A. J. Fikry"では、本と本屋を介した人間関係の機微に触れ、暖かな気持ちで読了したことを思い出しました。今回は、Video Gameを媒体として、人種的なマイノリティである主人公たちの居心地の悪さ、互いの葛藤、友情や愛情、そして行き違いが細やかに表現されており、人物も物語もリアル。そして切ない想いに惹き付けられました。列挙される名作Gameの数々の中には自分でも触れ、当時の限られたリソースの中で息を呑むような美しさを実現した伝説的作品もあり、製作途上のゲームに新鮮な驚きを与えようとする情熱、そしてどれほど労力を傾けても100%完全なものにならないもどかしさを感じ取ることができ、久しぶりに面白く、そして読み終わりたくない物語に出会えて嬉しくなりました。
Trustpilot
1 month ago
3 days ago